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昭和天皇の本を読む日

震災後、遠い場所ではありますが、日本のニュースが目に入る度、胸にぐさりとくる
話しばかりでしたが、

ある日のニュースは、天皇皇后両陛下が、被災地の瓦礫に向かって、また海に向かって
黙礼されているお姿をみたときには

地味なお姿なんだけど、その、黙礼されている時間が、まさに、神々しいというか
当然、同じ人間という生物ではあるのですが、

さすが、皇室。すごすぎる。と正直、思った事はこれでした。

ということで、あの黙礼に静かに感動してしまった私が、次に手にとった本は、こちら。

昭和天皇三十二の佳話


以下、アマゾンのレビューから。

エピソードを通じて、昭和天皇のお人柄にふれられる佳作。
その立場上、自由勝手な発言は許されない。
だからこそ、ふとしたエピソードの中にそのお人柄が偲ばれる。

とりわけ心に残ったのは、
熊本での陸軍演習を観覧された後の帰りのエピソードだ。
戦艦榛名に御乗艦のおり、夜、暗い甲板に立ち、
一人、挙手の礼を行っていたところを侍従は見つける。
侍従がそばの望遠鏡を覗くと、遠く陸地でお召し艦を見送る提灯が見えたとか。
奉送する国民には、それに応える陛下のお姿は見えなかったろう。
それでも、国民の思いに応えたいと努めるお姿、なんという至情の方であろうか。

わたしは昭和天皇のお人柄に、日本人の最良の美徳を見た。
それとともに、その価値観が急速に失われてしまったことにも気づかざるをえない。
「明治は遠くなりにけり」との言葉はいつの頃だったか。
いまや、その感慨は「昭和」への追憶に重なっている。





鹿児島湾を昭和天皇が乗船されている際、周りはまっくらで、なにも見えないのに
船の甲板にて、おひとり、闇に向かって、挙手の礼されている姿。

対して地元民は、陛下に見えるかわからないのに、提灯を灯して、通過をされている間
お見送りをしていた。。。

お互いが見えていないのに、それは問題ではなく、礼を尽くす、この行為の意味が、
現在の平成を生きる私たちの中に、どのくらい、意味を感じることができるか、
これがわかるか、わからないかで、人生はずいぶんと違うと思います。


また、他の章では、
陛下27歳、即位大礼の際には、泰祝として、遠方から、男女六万人が
集まり、式典が行われたそうですが、当日は悪天候の大雨のお話。

側近は、この悪天候で陛下の体調を気遣い、お立ち台に天幕を設置しましたが、
それにたいし、撤去を命じられ、また、式典の1時間20分、雨具を身につけることもなく
目の前で行進する男女と同じく、ずぶぬれで答礼を続けられた天皇。

この章を読んで、
あ!と思ったのが

しばらく前に、民主党の岡田幹事長が原発関係で被災地訪問した際に
本人、全身、防御服、防御服を身につけていない、地元の関係者が出迎え、
握手をするにも手袋もはずすことなく
平然としていた一枚の写真に、正直、吐き気がでるほど、嫌気がでた瞬間。

「へー、自分だけが安全だといいんだ、この人は(あとジャスコ)」

これじゃ、人はついていかないですよね。。

この昭和天皇の、お互いが見えないのに、挙礼される行為や、目の前の人がずぶぬれならば
当然自分も同じであるべきという、THE帝王学に

今の政治家の態度のみすぼらしさに、日本の美学はどこいったんだ・・とがっくり。


その天皇家崇拝しているわけでないですが、

古代から続く日本の文化の継承者として、皇族の存在ってやはりすごいと思います。

その個を持たない、生き方から私たちが学ぶことも多いのではないかなと感じています。

この本を通じて思った事は、

皇族は、とくに天皇、皇后両陛下は、「個」を持たず、常に国民の想うというスタンスでの
人生を送られています。

そう思うと、
いま、「自分」という言葉が世の中にいかに多いかと考えると、国民と皇族は対極の存在に
なってしまっているのだということ。

自分であれ、自己表現、まずは自分のことを考えろ、

また、社会の中で、会社の中で、「自分の在り方」を考えるあまりに、かえって自分を見失う
こともあること。

家庭であれば
「そんな生き方恥ずかしい」とか、

それは家族の中で考えるから、人にどう思われているのか、「自分」の立場を考えるからであって

社会の中で「自分の存在」の意味を考えすぎて、不幸になっているような気がします。

昔は、神様が、とか、天皇崇拝の際には、天皇の為にとか、そういった時代があったと思いますが

それはそれで、いまとは違う、幸せがあったのではないかなと思います。

たとえば、家で

「そんな生き方、恥ずかしい!どうにかしてくれ、お父さんは恥ずかしい」といわれるよりも

「そんなのだと、お天道様に顔向けできない」とか個での判断でなく、別の存在にゆだねることは

実はとても意味あることではないのでしょうか。

誰かのために生きる、我を抑える意味の大きさを改めて考えさせられる
本となりました。

お勧めの一冊です。

by tubaki_hana | 2011-07-03 06:10 | CHOCO図書館